産業廃棄物収集運搬
行政書士岩田雅紀事務所です。前職が産廃関係の仕事に就いてたので、リアルな現場を知っている数少ない専門家です。今回は生活する上で絶対に知っておかなければならない、ズバリ『廃棄物』について、じっくり解説したいと思います!
行政書士の紹介
この記事を監修】
行政書士:岩田雅紀
『産廃業許可の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表
資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc
目次
- 廃棄物ってなーに?
- ゴミには一般ごみと産廃ごみがある
- 産廃ごみをもう少しくわしく
- 特別産業廃棄物
- 廃棄物の分類が重要
- まとめ
廃棄物ってなーに?
「廃棄物」とは、不要になり廃棄の対象となった物または既に廃棄された無価物を指します。逆に売買の対象になるものを『有価物』と呼び、鉄スクラップなどは相場が決まっている、有価物になります。
具体的には、以下のようなものが該当します…
- ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚泥又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染されたものを除く)(廃棄物処理法第2条第1項)。
廃棄物の判断基準は、「客観説」と「総合判断説」の2つがあります。総合判断説は現在の基本的な考え方で、以下の5つのポイントを勘案して判断されます:
- 物の性状: 生活環境保全上の支障がなく、飛散や流出、悪臭の発生しないもの。
- 排出の状況: 需要に沿った計画的な排出であり、適切な保管や品質管理が行われていること。
- 通常の取り扱い形態: 市場が形成されており、通常は廃棄物として処理されないもの。
- 取引価値の有無: 有償譲渡が行われ、経済的合理性があるかどうか。
- 占有者の意思: 利用や有償譲渡の意思があるかどうか。
総合判断説は、廃棄物の該当性を判断する際に基本的な指針となっています。
ごみには一般ごみと産廃ごみがある
一般廃棄物
「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物を指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 家庭ゴミ: 可燃ゴミ、ペットボトル、リサイクルプラ、その他プラ、不燃ゴミ、資源ゴミ、有害ゴミ、大型ゴミなど、家庭から出る廃棄物。
- 事業系一般廃棄物: 会社やお店から出る一般廃棄物。
東京都では、一般廃棄物の処理に向けて以下の取り組みを行っています。
- 一般廃棄物処理施設: 東京都内には焼却施設、破砕処理施設、し尿処理施設、最終処分場などの一般廃棄物処理施設があります。これらの施設は、適正な廃棄物処理を行うために重要です。
- 廃棄物再生事業者登録: 廃棄物再生事業者は、一般廃棄物の再生利用に取り組む企業や団体です。東京都内には多くの廃棄物再生事業者が登録されています。
- 浄化槽: 東京都内の多摩地域(八王子市・町田市を除く)と島しょ地域の浄化槽保守点検業者が登録されています。
ちなみに広島県広島市では、一般廃棄物の回収が以下のように分類されています:
- 家庭ゴミ: 8つの種類に分別されます。これには可燃ゴミ、ペットボトル、リサイクルプラ、その他プラ、不燃ゴミ、資源ゴミ、有害ゴミ、大型ゴミが含まれます。
- 事業系一般廃棄物: 事業所から出る一般廃棄物は、ゴミステーションに出すことはできず、専門業者に委託することが一般的です。
産業廃棄物
産業廃棄物は事業活動によって生じたもので、法令によって指定されている20種類のゴミを『産業廃棄物』と呼んでいます。
産廃くずには、以下のようなものが該当します:
- 燃え殻: 石炭がら、焼却炉の残灰、清掃排出物など。
- 汚泥: 排水処理後や各種製造業生産工程で排出される泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥など。
- 廃油: 鉱物性油、植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油など。
- 廃酸: 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃塩酸類などの酸性廃液。
- 廃アルカリ: 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属石けん廃液などのアルカリ性廃液。
- 廃プラスチック類: 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくずなどの固形状・液状の合成高分子系化合物。
- ゴムくず: 生ゴム、天然ゴムくず。
- 金属くず: 鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くずなど。
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず: ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボードなど。
- 鉱さい: 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かすなど。
著者も長くスクラップ工場に勤めていましたが、会社を辞める少し前まで産廃の詳しい種類などは知りませんでした。ただ、鉄スクラップを加工しているとどうしても廃プラスチックやがれきが出て来てしまうので、産廃は非常に馴染みがあるものでした。弊所のお客様にスクラップ問屋さんも居るのですが、よく金属くず談話になり、金属くずは産廃としての扱いが難しいグレーな部分であると、話が盛り上がったりもします。
産廃ごみをもう少し詳しく
この産廃ですが、事業活動によって生じたものとなっております。
なので、製造業などに限定されず広い意味での概念となっており、事業規模が大小に関わらず下の図に該当するものは産業廃棄物となります。
そしてその中でも、大きく3種類に分類されています。
あらゆる事業から排出される物
産業廃棄物種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
燃えがら | 事業活動に伴い生ずる石炭がら、灰カス、焼却残灰、炉清掃掃出物等 | 石炭がら、灰かす、廃棄物焼却灰、炉清掃掃出物、コークス灰、重油燃焼灰、焼却灰、すす、廃カーボン類、廃活性炭等 |
汚泥 | 工場廃水等の処理後に残る泥状のもの及び各種製造業の製造工程において生ずる泥状のもので、有機性及び無機性のすべてのもの | ・有機性汚泥 製紙スラッジ、下水汚泥、ビルピット汚泥(し尿の混入している物を除く)、洗毛汚泥、消化汚泥(余剰汚泥)、糊かす、うるしかす |
・無機性汚泥 浄水場沈でん汚泥、中和沈でん汚泥、凝集沈でん汚泥、めっき汚泥、砕石スラッジ、ベントナイト泥、キラ、カーバイトかす、石炭かす、ソーダ灰かす、ボンデかす、塩水マッド、廃ソルト、不良セメント、不養生セメント、廃触媒、タルクかす、柚薬かす、けい藻土かす、活性炭かす、各種スカム(油性スカムを除く)、廃脱硫剤、ニカワかす、脱硫いおう、ガラス・タイル研磨かす、バフくず、廃サンドブラスト(塗料かすを含む物に限る)、スケール、スライム残さ、排煙脱硫石こう、赤泥、転写紙かす、建設汚泥等 | ||
廃油 | 鉱物性及び動植物性油脂に係るすべての廃油 | 潤滑油系廃油(スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、焼入油、タービン油、マシン油、エンジン油、グリース油)、切削油系廃油(水溶性、不水溶性)、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、圧延油系廃油、作動油系廃油、その他の鉱物油系廃油(灯油、軽油、重油等)、動植物油系廃油(魚油、 鯨油、なたね油、やし油、ひまし油、大豆油、豚脂、牛脂等)、廃溶剤類(シンナー、ベンゼン、トルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、アルコール等)、廃可塑剤類(脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル等)、消泡用油剤、ビルジ、タンカー洗浄廃水、タールピッチ類(タールピッチ、アスファルト、ワックス、ろう、パラフィン等)、廃ワニス、クレオソート廃液、印刷インキかす、硫酸ピッチ(廃油と廃酸の混合物)、廃PCB、廃白土、タンクスラッジ、油性スカム・洗車スラッジ(廃油と汚泥の混合物) |
廃酸 | 廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液。中和処理した場合に生ずる沈でん物は汚泥として取り扱う | 無機廃酸(硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、スルファミン酸、ホウ酸等)、有機廃酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等)、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液(漂白浸せき工程、染色工程)、クロメート廃液、写真漂白廃液、炭酸飲料水、ビール等 |
廃アルカリ | 廃ソーダ液をはじめとするすべてのアルカリ性廃液。中和処理をした場合に生ずる沈でん物は汚泥として取り扱う | 洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液(製錬工程、シルケット加工)、黒液(チップ蒸解廃液)、脱脂廃液(金属表面処理)、写真現像廃液、か性ソーダ廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液、か性カリ廃液等 |
廃プラスチック類 | 合成高分子系化合物に係る固形状及び液状のすべての廃プラスチック類 | 廃ポリウレタン、廃スチロール(発泡スチロールを含む)、廃ベークライト(プリント基盤等)、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、合成紙くず、廃写真フィルム、廃合成皮革、廃合成建材(タイル、断熱材、合成木材、防音材等)、合成繊維くず(ナイロン、ポリエステル、アクリル等で混紡も含む)、廃ポリ容器類、電線の被覆くず、廃タイヤ、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす、合成ゴムくず等 |
ゴムくず | 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスッチク類) | 切断くず、裁断くず、ゴムくず、ゴム引布くず、エボナイトくず(廃タイヤは合成ゴムのため廃プラスッチク類) |
金属くず | 鉄くず、空かん、古鉄・スクラップ、ブリキ、とたんくず、箔くず、鉛管くず、銅線くず、鉄粉、バリ、切断くず、切削くず、研磨くず、ダライ粉、半田かす、溶接かす等 | |
ガラスくず、 | 1)ガラスくず 廃空ビン類、板ガラスくず、アンプルロス、破損ガラス、ガラス繊維くず、カレットくず、ガラス粉 | |
2)コンクリートくず 製造工程等で生じるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず、石膏ボードくず | ||
3)陶磁器くず 土器くず、陶器くず、せっ器くず、磁器くず、レンガくず、耐熱レンガくず、せっこう型、タイルくず等 | ||
鉱さい | 高炉、平炉、転炉、電気炉からの残さい(スラグ)、キューボラ溶鉱炉のノロ、ドロス・カラミ・スパイス、ボタ、不良鉱石、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂(塗料かす等を含むものを除く) | |
がれき類 | 工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた各種廃材(専ら土地造成の目的となる土砂に準じたものを除く) | コンクリート破片、レンガ破片、ブロック破片、石類、瓦破片、その他これに類する各種廃材等 |
ばいじん | ばい煙発生施設・焼却施設等の集じん施設で集められたもの | 電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト等 |
種類が限定されているもの
紙くず | 1)建設業に係るもの (工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) 2)パルプ、紙又は紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行)に係るもの 3)出版業(印刷出版を行う者に限る)に係るもの 4)製本業及び印刷物加工業に係るもの | 印刷くず、製本くず、裁断くず、旧ノーカーボン紙等、建材の包装紙、板紙、建設現場から排出される紙くず等 |
木くず | 1)建設業に係るもの (工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) 2)木材又は木製品製造業 3)パルプ製造業 4)輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの 5)貨物の流通のために使用したパレット | 建設業関係の建物、橋、電柱、工事現場、飯場小屋の廃木材(工事箇所から発生する伐採材や伐根を含む)、木材、木製品製造業等関係の廃木材、おがくず、パーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップ等 |
繊維くず | 1)設業に係るもの | 木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等、建設現場から排出される繊維くず、ロープ等 |
動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物 (魚市場、飲食店等から排出される動植物性残さ又は厨芥類は事業活動に伴って生じた一般廃棄物) |
|
動物系固形不要物 | と蓄場においてとさつし、又は解体した獣蓄及び食鳥処理場において食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物 | と蓄場において処分した獣蓄、食鳥処理場において処理した食鳥 |
動物のふん尿 | 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物のふん尿 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等のふん尿 |
動物の死体 | 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の死体 |
その他
法施行令第2条第13号に規定する産業廃棄物
産業廃棄物を処理するために処理したものであって、以上の産業廃棄物に該当しないもの
例)有害汚泥のコンクリート固形物、焼却灰の溶融固形化物
※東京都環境局のHPより
特別産業廃棄物
廃棄物処理法では、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」を特別管理廃棄物として規定し、必要な処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っています。
特別管理産業廃棄物の一覧 ※東京都環境局HPより
主な分類 | ||
---|---|---|
特別管理産業廃棄物 | 廃油 | |
廃酸 | ||
廃アルカリ | ||
感染性産業廃棄物 | ||
廃水銀等 | ||
特定有害産業廃棄物 | 廃PCB等 | |
PCB汚染物 | ||
PCB処理物 | ||
指定下水汚泥 | ||
鉱さい | ||
廃石綿等 | ||
ばいじん又は燃え殻* | ||
廃油* | ||
汚泥、廃酸又は廃アルカリ* |
廃棄物の分類が重要
産業廃棄物と一般廃棄物とで、処理責任や規定が違ってくるので、分類は非常に大事になってきます。
産業廃棄物は排出事業者が責任を負うことになるのですが、誤って一般廃棄物として処理しようとすると、
法令違反で罰せられる可能性もあります。そうならない様に、適正な分類の理解が必要です。
産業廃棄物は必ず1種類毎に分別出来るとは限りません。
鉄筋コンクリートなどを解体したら、鉄筋にコンクリートが付いた状態で出て来てしまうし、
複合機など、プラスチックに金属やガラスなど色々な物が付属で付いていたりします。
そう言った物を『混合物』と呼びます。
また混合物の中でも、その内の一つが極端に割合が高い物を『総体物』と呼びます。
廃油交じりの泥などは、廃油が5%未満であれば総体物として、汚泥として判断されます。
※少し余談になりますが、実際どうやってコピー機などを処理してるかと言うと、
私が以前勤めていた会社では、自動車なども破砕できてしまう大型シュレッターが有って、
その機械にかかると全て細かくバラバラになり、鉄・プラスチック・アルミ・その他のもの
を独自の抽出方法(鉄などは磁石などで、廃プラはエアピッキング機、アルミは専用の液体比重沈殿槽)
で、分別処理されてました。機械が破砕される瞬間は、正に圧巻です(物凄く激しい音と共に粉々になる)。
まとめ
当然の話しですが、廃棄物は一般廃棄物でも産業廃棄物でも適切に処理されなければなりません。本日のまとめとして、
- 一般ごみと産廃ごみがある
- あらゆる事業活動からでる産廃と種類が限定されている産廃ごみがある
- 分類が重要
以上の内容が少し理解出来れば良いと思います。
収集運搬業者として許可を経て専門業者としての知識を獲得し、然るべき処置を施し、安全な荷姿で収集運搬し、適切な場所へ卸したいですよね。産廃専門の行政書士なら様々な疑問点などをお答えできる知識を持っています。弊所で産廃収集運搬許可をご依頼下されば、安心してその後の事業活動を行うことが出来ます!
収集運搬の事や、置き場の事で悩んでいる事業者様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談下さい!