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【重要なお知らせ】 本記事の内容は、パブリックコメント(県民意見公募)を経て検討されている「群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例(案)」および「同施行規則(案)」に基づいています。これらは現在「案」の段階であり、今後の県議会での審議等により、実際の施行時には内容が変更される可能性がある点にご注意ください。最新の情報は必ず群馬県の公式発表をご確認ください。
群馬県内で金属スクラップやプラスチック類などの「再生資源物」を屋外で保管・処理している事業者の皆様、そしてその土地を貸し出している所有者の皆様にとって、避けて通れない大きな規制が始まろうとしています。
近年、スクラップヤード等での火災や保管物の崩落、周辺住民からの苦情が全国的に深刻化しています。これを受け、群馬県では県民の安全確保と生活環境の保全を目的に、新たな許可制度を導入する方針を固めました。
本記事では、条例案から読み解ける「許可が必要な条件」「厳しい保管基準」「重い罰則」について、実務的な視点で徹底解説します。
目次
1. 条例制定の背景:県民の声とパブリックコメント
2. 規制の対象となる「事業者」と「物」の定義
3. 許可申請の手続きと「5年更新制」
4. 現場が守るべき「保管基準」と「火災対策」の全貌
5. 事業運営における遵守事項と情報公開
6. 土地所有者(オーナー)の努力義務
7. 違反した場合の罰則と行政処分
8. 正式な施行までの流れと経過措置
条例制定の背景:県民の声とパブリックコメント
今回の条例制定の背景には、既存の法令では十分に規制できない再生資源物の屋外保管に対し、県民から市町村へ多くの「不安の声」や「苦情」が寄せられていたと思われます。
県はこれらの声を受け、パブリックコメントを実施するなどして慎重に検討を進めています。近隣の自治体(千葉県や埼玉県など)ですでに施行されている同様の条例も参考に、群馬県の実情に合わせた規制が作られようとしています。
規制の対象となる「事業者」と「物」の定義
まずは、ご自身の事業が規制対象に含まれるかどうかを正確に把握しましょう。
規制対象となる「再生資源物」
使用を終了して収集されたもののうち、以下のものが対象です。
• 金属、または金属を含む混合物(金属スクラップなど)
• プラスチック、またはプラスチックを含む混合物(廃プラ類など) ※廃棄物処理法の対象となる「廃棄物」や、使用済み自動車リサイクル法の対象物は除かれます。
許可が必要な「屋外保管業」の条件
以下の3つの条件を満たす場合、知事の許可が必要となります。
1. 機械の使用: 油圧ショベルや、フォークを最高まで上げた時の高さが3メートルを超えるフォークリフト等を使用して積み上げ作業を行う場合。
2. 屋外での保管: 屋根や壁のある建物(建造物)の外で保管・処理を行う場合。
3. 敷地面積: 事業場の面積が100平方メートルを超える場合(隣接する複数の事業場の合計面積で判断されます)。
許可申請の手続きと「5年更新制」
屋外保管業を営むには、あらかじめ知事の許可を受けなければなりません。
• 有効期間: 許可の有効期間は5年間です。事業を継続するには5年ごとの更新申請が必要になります。
• 申請書類: 非常に多岐にわたります。事業計画書、位置図、平面図、断面図、構造図、設計計算書に加え、土地の権利関係を証する書類(登記簿謄本や使用承諾書)の提出が求められます。
• 標準作業書の作成: 維持管理計画、油水分離装置の管理、火災防止策、害虫防除策、廃棄物処理方法などを記した「標準作業書」の作成が必須です。
現場が守るべき「保管基準」と「火災対策」の全貌
許可を取得・維持するためには、規則案で定められた物理的な基準をクリアする必要があります。
積み上げ高さの制限(崩落防止)
保管物の積み上げ高さは、原則として上限5メートルです。 さらに、敷地境界線や囲いの下端から50%の勾配(水平距離に対し高さが半分)で引いたラインの内側に収める必要があります。囲いに直接荷重がかかる構造の場合は、その強度に応じた詳細な計算方法が適用されます。
施設の構造と設備
• 囲いの設置: 事業場の周囲には、構造耐力上安全な囲いが必要です。
• 流出防止措置: 汚水や油が漏れる恐れがある場所は、底面を**不浸透性の材料(アスファルト等)**で覆い、油水分離装置と排水溝を設置しなければなりません。
「雑品スクラップ」への特別な火災対策
金属とプラスチックが混ざった「雑品スクラップ」は特に火災のリスクが高いとされており、個別の厳しい基準が設けられています。
1. 発火物の除去: 電池、潤滑油などの火災の原因となるものを、技術的に可能な範囲で回収・処理すること。
2. 面積制限: 1区画あたりの保管面積を200平方メートル以下とすること。
3. 離隔距離: 隣接する保管場所との間に2メートル以上の間隔を空けること(耐火性のある仕切りがある場合を除く)。
事業運営における遵守事項と情報公開
許可後も、適正な運営を継続するための義務が課されます。
• 標識の掲示: 公衆に見えやすい場所に、許可番号、保管物の区分、最大積載高さ、現場責任者の氏名などを記した縦横60cm以上の標識を掲示しなければなりません。
• 帳簿の作成・保存: 取引年月日、相手方、数量などを記録し、5年間保存することが義務付けられます。
• 現場責任者の配置: 各事業場に適切な業務を行わせるための責任者を置く必要があります。
• Webでの情報公開: 常時雇用する従業員が5人を超える場合などは、自社サイト等での情報公開も求められます。
土地所有者(オーナー)の努力義務
今回の条例案は、事業主だけでなく、**土地を貸す側(土地所有者等)**にも責務を課しています。土地を貸し付ける際には、その事業者が崩落や火災の防止措置を適切に講じているかを確認するよう努めなければなりません。確認ができない場合は、貸し付けを控えることも求められています。
違反した場合の罰則と行政処分
条例案には、非常に厳しい罰則が盛り込まれています。
• 命令と取消: 基準違反があれば改善勧告・命令が出され、従わない場合は業務停止命令や許可の取り消しが行われます。
• 刑事罰:
◦ 無許可営業、変更許可違反、命令違反等: 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。
◦ 届出の未提出や虚偽報告、立入検査の拒否:30万円以下の罰金。
• 両罰規定: 違反した従業員だけでなく、会社(法人)にも罰金刑が科されます。
正式な施行までの流れと経過措置(既存事業者)
条例施行時にすでに事業を行っている方には、以下の猶予が設けられる見込みです。
1. 施行日と準備: 条例が公布された後、特定の施行日から全面的に適用されます。
2. 事業の継続と届出: 施行日から6ヶ月間は許可なしで継続できますが、その期間内に県への届出が必要です。この届出により、施行日に許可を受けたものとみなされます。
3. 構造基準の猶予: 囲いや不浸透性の床面などの「構造基準」については、施行日から1年間の猶予期間があります。
4. 遵守義務の猶予: 高さ制限や火災防止措置などは、施行日から6ヶ月間の猶予となる予定です。
正式な施行までの流れと経過措置(既存事業者)
まとめ:早めの現状確認と準備を
群馬県の「再生資源物屋外保管条例案」は、資源リサイクル業界にとって大きな転機となります。現在は「案」の段階ですが、施行が決定した際に慌てないよう、まずは自社の事業場が基準に適合しているか確認し、準備を進めておくことが重要です。
最新の情報や詳細な図面基準については、群馬県の公式ホームページを確認、または担当部局へお問い合わせください。
参照資料:
• 群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例(案)
• 群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例(案)の概要について
• 群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例施行規則(案)
申請サポートいたします(既存事業者向け)
行政書士岩田雅紀事務所
元大手金属スクラップディーラー出身で、ヤードのことならなんでも通じます。そんなヤード専門家が許可申請・届出のサポートをご提案いたします。千葉県、埼玉県、福島県での申請実績が多数ございます。
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