産業廃棄物のがれき類とは?定義・区分・処分方法を徹底解説

はじめに
近年、日本では地震や台風などの自然災害が頻発し、それに伴って大量のがれき類が発生しています。特に2011年の東日本大震災以降、がれき類の処理やリサイクルの重要性が社会的な注目を集めました。
災害廃棄物の適正処理は、復興のスピードや環境保全に直結するため、行政や企業、地域社会が一体となって取り組むべき課題となっています。また、建設ラッシュによる解体工事も増加し、通常の産業活動でもがれき類の発生量は増加傾向にあります。こうした背景から、産業廃棄物としてのがれき類について深く理解することが、これからの社会にとってますます重要になっています。

行政書士:岩田雅紀
『環境系専門の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表
産廃業許可、建設業許可申請を主な業務として取り扱っている。
資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc
目次
- がれき類とは?産業廃棄物における定義
- がれき類の区分と分類方法
- がれき類の主な種類と具体例
- がれき類の適切な処分方法
- がれき類処理における法的規制と注意点
- よくある質問(FAQ)
がれき類とは?産業廃棄物における定義
産業廃棄物の一つである「がれき類」は、主に建設工事や解体工事など建設業の現場で生じるコンクリート片やレンガ片、瓦などの廃材を指します。日本の廃棄物処理法では、がれき類は「コンクリートくず、アスファルト・コンクリートくず、その他これらに類するもの」と定義されています。つまり、がれき類とは単なる石や土ではなく、建設活動の過程で発生した構造物の破片や加工物が対象となるのです。
がれき類は、適切に処理されなければ、景観悪化や環境汚染の原因となります。そのため、発生時から最終処分まで厳格な管理が求められているのが特徴です。
がれき類の区分と分類方法
がれき類は、産業廃棄物の中でも独自の区分がされており、主に以下のように分類されます。
- コンクリートくず:建物の解体などで生じるコンクリートの破片や塊
- アスファルト・コンクリートくず:道路工事などで発生したアスファルトを含むがれき
- その他これらに類するもの:レンガ、瓦、ブロック、石材、陶磁器くずなど
分類の際には、その発生源や材質、含有物の有無によって詳細な区分が行われます。たとえば、アスベストを含む建材が混在している場合は、「特別管理産業廃棄物」として別途厳格な取り扱いが必要です。適正な区分を行うことは、後の処理工程やリサイクルの効率化にも大きく影響します。
がれき類の主な種類と具体例
がれき類にはさまざまな種類が存在し、建設現場や工事内容によって発生する廃棄物も異なります。主な種類と具体例は以下の通りです。
- コンクリートくず:ビルや橋梁の解体で出るコンクリートの塊や粉砕された破片
- アスファルト・コンクリートくず:舗装道路の補修や撤去工事で発生するアスファルト混合物
- レンガくず:古い建築物の撤去時に発生するレンガの破片
- 瓦くず:住宅や施設の屋根材として使われていた瓦の破片
- ブロックくず:コンクリートブロック塀の解体で出るブロック片
- 石材くず:石垣や装飾用の石材の破砕片
- 陶磁器くず:タイルや衛生陶器(便器など)の破片
このように、がれき類は多様な素材から成り立っており、それぞれの特性に応じた処理方法が求められます。
がれき類の適切な処分方法
がれき類の処分は、環境への配慮と法令遵守が最優先されるべきポイントです。処分方法としては、主に以下の手順が取られます。
- 分別と中間処理:現場で素材ごとに分別し、破砕や選別といった中間処理施設へ運搬します。これによりリサイクル可能な資源とそうでないものを分けることができます。
- リサイクル:コンクリートくずやアスファルト・コンクリートくずは、破砕後に再生砕石や再生アスファルト合材として再利用されることが一般的です。こうしたリサイクルは、資源循環型社会の実現に大きく貢献しています。
- 最終処分:リサイクルが困難なものについては、管理型最終処分場にて埋立処分されます。最終処分の際には、周辺環境への影響を最小限に抑えるため、適切な管理が必要となります。
不適切な処分は法律違反となり、罰則の対象となるため、専門業者による適正な処理が義務付けられています。
がれき類処理における法的規制と注意点
がれき類の処理には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」をはじめ、関連法令が厳格に適用されます。主な法的規制や注意点は以下の通りです。
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付・管理が義務付けられており、排出から最終処分までの流れを記録・管理する必要があります。
- 無許可業者への委託や不法投棄は厳しく禁止されており、違反時には重い罰則が科せられます。
- アスベスト含有建材などの特別管理産業廃棄物が混在する場合は、さらに厳格な取り扱いが必要です。
以上の点をしっかり遵守することで、事業者は法令違反を防ぎ、社会的責任を果たすことができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. がれき類と一般廃棄物との違いは何ですか?
A1:がれき類は、建設工事などの事業活動に伴い発生した産業廃棄物です。これに対し、一般廃棄物は家庭ごみや事業活動以外で発生した廃棄物を指します。処分方法や法的な取り扱いも異なります。
Q2. がれき類のリサイクル率はどの程度ですか?
A2:近年、コンクリートくずやアスファルトくずのリサイクル率は非常に高く、例えばコンクリートくずのリサイクル率は90%以上に達しています。これは、資源循環や環境保全の観点からも大きな成果と言えるでしょう。
Q3. がれき類の処分費用はどのくらいかかりますか?
A3:処分費用は、種類や量、運搬距離、処分方法(リサイクルか最終処分か)によって大きく異なります。一般的には1トンあたり数千円から数万円程度が目安となりますが、詳細は各自治体や処理業者に確認してください。
Q4. がれき類は自分で処分できますか?
A4:原則として、産業廃棄物であるがれき類は、専門の許可業者に委託して処理する必要があります。無許可での処分や投棄は法律違反となり、重い罰則が科されます。
Q5. アスベストが混ざったがれき類の処分はどうなりますか?
A5:アスベストを含むがれき類は「特別管理産業廃棄物」として分類され、通常のがれき類よりも厳格な管理・処分方法が定められています。必ず専門の処理業者に依頼してください。
さいごに
産業廃棄物のがれき類は、現代社会において重要な課題の一つです。適切な区分と処理、リサイクルの推進、法令遵守は、環境保全と安全な社会づくりの基盤となります。今後もがれき類の適正管理が求められる中、正しい知識と理解を持つことが、持続可能な未来への第一歩となるでしょう。