はじめに

現代の建設業界は、大きな変革期を迎えています。2024年4月から施行された建設業法改正による働き方改革の推進、技術者の高齢化と後継者不足の深刻化、そしてDXによる業務効率化の要請など、業界を取り巻く環境は刻々と変化しています。
特に鋼構造物工事業においては、都市部での高層建築物の建設ラッシュ、老朽化したインフラの更新需要、大型物流施設や工場の建設増加により、その重要性がますます高まっています。鋼構造物は、その優れた強度と耐久性、設計自由度の高さから、現代社会の基盤を支える不可欠な存在となっています。
一方で、これらの専門性の高い工事を適法に請け負うためには、建設業法に基づく適切な許可の取得が必須です。しかし、許可要件は複雑で、申請手続きには専門的な知識と膨大な書類作成が必要となります。無許可営業は重大な法令違反となり、企業の信頼失墜につながるリスクもあります。
本記事では、鋼構造物工事業の建設業許可について、最新の法改正内容を踏まえながら、定義から具体的な申請方法まで包括的に解説いたします。許可取得をお考えの事業者様にとって、実践的で有益な情報を提供し、専門家による申請代行・申請サポートの重要性についてもご理解いただけるよう構成しております。
目次
- 鋼構造物工事業とは?定義と概要
- 鋼構造物工事業の区分と分類
- 鋼構造物工事の具体的な工事種類
- 建設業許可の取得方法と手続き
- 常勤役員等の要件詳細
- 営業所専任技術者の要件と資格
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
鋼構造物工事業とは?定義と概要
鋼構造物工事業は、建設業法第2条別表第1の第14号に規定されている建設業29業種の一つです。国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」では、「形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事」と明確に定義されています。
この定義における重要なポイントは、単に鋼材を扱うだけでなく、「加工」と「組立て」の両方またはいずれかを含む工事であることです。つまり、工場での精密な加工から現場での組立て、溶接、ボルト締めまでの一連の工程を包含する、高度な専門性を要する業種です。
鋼構造物工事の特徴として、以下の点が挙げられます:
技術的特徴:
- 高精度な加工技術と組立て技術の両方が必要
- 溶接技術者の技能と品質管理体制が重要
- 大型クレーンを使用した重量物の据付作業
- 高所作業における安全管理の徹底
社会的重要性:
- 耐震性に優れた構造物の提供
- 大空間建築や高層建築の実現
- インフラの長寿命化への貢献
- 環境負荷の軽減(鋼材のリサイクル性)
近年では、BIM(Building Information Modeling)の導入や、プレファブ化による工期短縮、品質向上への取り組みも活発化しており、より高度な技術力と管理能力が求められています。
このような専門性の高い業種であるからこそ、建設業許可の取得は企業の技術力と信頼性を証明する重要な要素となります。許可要件の複雑さや申請書類の専門性を考慮すると、経験豊富な行政書士による申請代行・申請サポートの活用が、確実で効率的な許可取得への近道となります。
鋼構造物工事業の区分と分類
建設業法上、鋼構造物工事業は請負金額と下請発注の規模により「一般建設業許可」と「特定建設業許可」に区分されます。
一般建設業許可:
- 発注者から直接請け負う1件の工事で、下請契約金額が4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の場合
- 中小規模の鋼構造物工事を主体とする事業者が対象
- 財産的基礎要件:自己資本500万円以上または同額の資金調達能力
特定建設業許可:
- 下請契約金額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となる工事を請け負う場合
- 大規模プロジェクトの元請として活動する事業者が対象
- より厳格な財産的基礎要件:資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上など
技術的分類による区分:
鋼構造物工事は、その用途と構造特性により以下のように分類されます:
建築系鋼構造物:
- 高層ビル、工場、倉庫の鉄骨工事
- 体育館、展示場などの大空間構造
- 商業施設、オフィスビルの鉄骨工事
土木系鋼構造物:
- 道路橋、鉄道橋の上部工事
- 水門、樋門、ゲート工事
- 送電鉄塔、通信鉄塔工事
産業系鋼構造物:
- 石油・ガス貯蔵タンク工事
- プラント設備の鋼構造部分
- 煙突、サイロ工事
これらの区分を理解することは、適切な許可申請を行う上で重要です。事業展開を見据えた許可区分の選択により、将来の受注機会拡大につなげることができます。申請サポートを受ける際には、現在の事業内容だけでなく、将来の事業計画も含めて最適な区分を選択することが重要です。
鋼構造物工事の具体的な工事種
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインに基づき、鋼構造物工事に該当する具体的な工事種類を詳しく解説します。
主要な工事種類:
鉄骨工事:
建築物の主要構造部となる鉄骨の製作から建方まで一貫して行う工事です。具体的には、H型鋼、I型鋼、角型鋼管などの構造用鋼材を用いて、柱、梁、筋交いなどを製作し、現場で組み立てる工事を指します。高層ビル、工場、倉庫、体育館などの骨組みを構築する重要な工事です。
橋梁工事:
道路橋や鉄道橋の上部工を構成する鋼桁、鋼床版、鋼製橋脚などの製作・架設工事です。工場での精密な製作と、現場での大型クレーンを使用した架設作業が特徴的です。近年では、PC(プレストレストコンクリート)との合成構造も多く採用されています。
鉄塔工事:
送電線鉄塔、通信鉄塔、気象観測塔などの製作・建設工事です。高所作業の安全管理と、風荷重に対する構造計算の精度が重要となります。
タンク工事:
石油、ガス、水などを貯蔵する大型鋼製タンクの製作・設置工事です。溶接技術の高度な技能と、厳格な品質管理、気密性・水密性の確保が求められます。
煙突工事:
工場や発電所の鋼製煙突の製作・建設工事です。耐熱性、耐腐食性を考慮した材料選定と、高所での施工技術が必要です。
水門・ゲート工事:
河川、ダム、港湾の鋼製水門、ゲート、樋門の製作・設置工事です。水圧に対する構造強度と、長期間の耐久性が重要な要素となります。
他業種との区分における注意点:
とび・土工・コンクリート工事との区分:
鋼構造物工事が「鋼材の加工又は組立て」を含むのに対し、とび・土工工事の鉄骨組立ては、主に既製品の組立てや足場設置に伴う付随的な作業を指します。設計図に基づく加工や溶接を伴う本格的な鉄骨工事は、明確に鋼構造物工事の範疇です。
鉄筋工事との区分:
鉄筋工事は鉄筋コンクリート構造のための鉄筋加工・組立てであり、構造用鋼材を用いる鋼構造物工事とは明確に区別されます。
これらの工事種類を正確に理解し、自社の事業内容に適した許可を取得することが重要です。複数の業種にまたがる工事や、区分の判断が困難な場合は、建設業許可の専門家による申請代行・申請サポートを活用することで、適切な許可取得が可能になります。
建設業許可の取得方法と手続き
鋼構造物工事業の建設業許可を取得するためには、建設業法に定められた5つの要件を満たし、適切な申請手続きを行う必要があります。
建設業許可の6つの要件
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者)がいること
- 営業所技術者がいること
- 社会保険に加入していること
- 請負契約に関して誠実性を有すること
- 請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有すること
- 欠格要件に該当しないこと
財産的基礎の具体的要件:
一般建設業許可の場合:
- 自己資本が500万円以上であること
- または500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書等で証明)
特定建設業許可の場合:
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本が4,000万円以上であること
申請の流れ:
- 事前準備・要件確認
- 常勤役員等の経営経験の整理と証明書類の収集
- 専任技術者の資格・実務経験の確認と証明書類の準備
- 財務諸表等の財産的基礎を証明する書類の整備
申請書類の作成
- 建設業許可申請書の作成
- 工事経歴書、直前3年の工事施工金額の作成
- 各種証明書類の添付書類整理
申請書の提出
- 都道府県知事許可:本店所在地の都道府県庁
- 国土交通大臣許可:地方整備局(複数都道府県に営業所がある場合)
審査期間
- 書類審査、必要に応じて補正対応
- 場合によっては追加資料の提出やヒアリング
許可証の交付
申請に必要な主要書類:
- 建設業許可申請書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 登記事項証明書
- 納税証明書
- 定款
- 株主調書(法人の場合)
- 財務諸表
- 営業所一覧表
- 常勤役員等証明書
- 営業所専任技術者証明書
※他にもあります。
これらの書類作成には、建設業法の深い理解と実務経験が必要です。特に、過去の経営経験や実務経験の証明は、客観的な証拠書類の収集と適切な整理が求められ、多くの時間と労力を要します。
確実で効率的な許可取得のためには、建設業許可申請の専門家である行政書士による申請代行・申請サポートの活用が極めて有効です。専門家のサポートにより、書類の不備による審査遅延を防ぎ、スムーズな許可取得が可能になります。
常勤役員等の要件詳細
令和2年10月の建設業法改正により、従来の「経営業務の管理責任者」から「常勤役員等」へと名称が変更されました。
常勤役員等の定義:
法人の場合は常勤の役員(取締役、執行役、業務を執行する社員等)、個人事業主の場合は事業主本人または支配人を指します。これらの者が建設業の経営業務について一定の経験を有していることが求められます。
要件を満たすための経験パターン:
パターン1:建設業での経営経験5年以上
- 建設業を営む法人の常勤役員として5年以上の経験
- 個人事業主として建設業を5年以上営んだ経験
- 建設業を営む法人の経営業務を補佐する業務に従事した期間が6年以上
パターン2:建設業での経営経験2年以上+補佐経験5年以上
- 建設業での役員経験2年以上と補佐経験5年以上の組み合わせ
パターン3:建設業以外での経営経験5年以上+建設業での補佐経験2年以上
- 建設業以外の業種での役員経験5年以上
- かつ建設業での補佐経験2年以上
経験の証明方法:
常勤役員等経験の証明:
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
工事請負契約書、注文書、請求書 など
個人事業主経験の証明:
- 確定申告書(所得税申告書)
- 請負契約書、注文書、請求書
- 建設業許可申請書(過去に許可を受けていた場合)
- 工事実績を示す客観的資料
補佐経験の証明:
- 職務内容証明書(具体的な業務内容の記載)
- 組織図
- 辞令、給与明細
- 社会保険加入記録 など
常勤性の証明:
常勤性の確認は厳格に行われます。以下の書類により証明します:
- 健康保険被保険者証
- 住民票(必要無い自治体もあります)
- 他社の役員等との兼業がないことの証明
- 身分証明書 など
注意すべきポイント:
経験年数の計算:
- 経験期間は月単位で計算され、1ヶ月に満たない期間は切り捨て(1年に1回も有ります)
- 同時期の重複する経験は通算不可
- 休眠会社での役員経験は原則として認められない
証明書類の収集:
過去の経験を証明する書類の収集は、最も困難な作業の一つです。特に、古い会社の登記簿や契約書類の入手、倒産した会社の資料収集などは、専門的なノウハウが必要になります。
このような複雑な要件と証明手続きを確実に進めるためには、建設業許可申請の専門家による申請代行・申請サポートが不可欠です。経験豊富な行政書士が、お客様の過去の経歴を詳細に分析し、最適な証明方法を提案することで、スムーズな要件クリアが可能になります。
営業所専任技術者の要件と資
営業所専任技術者は、各営業所に常勤し、建設工事の適正な施工を技術面から管理する重要な役割を担います。鋼構造物工事業においては、その専門性の高さから、厳格な技術者要件が設定されています。
鋼構造物工事業の専任技術者要件:
国家資格による要件:
一般建設業・特定建設業共通:
- 1級建築士
- 1級建築施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
- 技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」)
- 技術士(総合技術監理部門「建設-鋼構造及びコンクリート」)
一般建設業のみ:
- 2級建築士(鋼構造物に関する科目を履修)
- 2級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 2級土木施工管理技士(種別:土木)
技能検定による要件(一般建設業のみ):
以下の技能検定合格者で、合格後の実務経験が所定年数以上の者:
- 建築板金(1級合格者または2級合格後1年以上の実務経験)
- 鉄工(1級合格者または2級合格後1年以上の実務経験)
- 製缶(1級合格者または2級合格後1年以上の実務経験)
- 配管(1級合格者または2級合格後1年以上の実務経験)
実務経験による要件:
一般建設業:
鋼構造物工事に関する実務経験10年以上
学歴+実務経験:
- 大学・高専の指定学科卒業+実務経験3年以上
- 高校・中等教育学校の指定学科卒業+実務経験5年以上
指定学科:
- 土木工学
- 建築学
- 機械工学
- 都市工学
- 衛生工学
- 交通工学
- これらに関する学科
実務経験の内容と証明:
実務経験として認められる業務:
- 鋼構造物の設計業務
- 鋼構造物工事の現場監督業務
- 鋼構造物の製作・加工業務
- 鋼構造物工事の施工業務
実務経験として認められない業務:
- 単純な事務作業
- 営業業務のみ
- 機械操作のみの業務
- 鋼構造物工事以外の建設工事
実務経験の証明書類:
- 実務経験証明書(詳細な業務内容の記載)
- 請負契約書、注文書、請書
- 請求書、領収書 など
専任性の要件:
専任技術者は、その営業所に常勤し、専らその業務に従事することが求められます。
専任性の制限:
- 他の営業所の専任技術者との兼任不可(同一都道府県内の一定条件下での兼任は例外的に可能)
- 現場配置技術者(主任技術者・監理技術者)との兼任は、工事規模等により制限
専任性の証明:
- 健康保険被保険者証
- 住民票
- 雇用契約書
- 給与明細、源泉徴収票
特定建設業の追加要件:
特定建設業許可を取得する場合、専任技術者により厳格な要件が課されます:
- 1級国家資格者であること
- または国土交通大臣が同等以上と認定した者
技術者要件でよくある問題と対策:
資格証明書の紛失:
合格証明書や免状を紛失した場合は、発行機関での再発行手続きが必要です。時間がかかる場合があるため、早めの対応が重要です。
実務経験の証明困難:
過去の勤務先の協力が得られない場合や、証明書類が不足している場合は、代替書類や補強資料による証明方法を検討する必要があります。
学歴証明:
卒業証明書の取得や、履修科目の確認が必要な場合があります。特に古い学校や廃校になった学校の場合は、手続きが複雑になることがあります。
これらの複雑な技術者要件を確実にクリアするためには、建設業許可申請の専門家による申請代行・申請サポートが極めて有効です。豊富な経験を持つ行政書士が、お客様の状況に応じた最適な技術者要件の満たし方を提案し、必要書類の収集から証明書の作成まで、包括的にサポートいたします。
よくある質問(FAQ)
Q1: 鋼構造物工事の許可があれば、どのような規模の工事でも請け負えますか?
A1: 許可の種類により請け負える工事の規模が決まります。一般建設業許可では、1件の工事について下請契約金額が4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)の範囲で元請工事を行えます。これを超える下請発注を行う場合は、特定建設業許可が必要です。また、発注者から直接請け負う工事については、許可があれば金額の上限はありませんが、実際の施工能力や財務状況を考慮した適切な受注が重要です。
Q2: 他の建設業許可を既に持っている場合、鋼構造物工事業の許可取得は簡単になりますか?
A2: 既存の建設業許可がある場合、「業種追加」という手続きで鋼構造物工事業の許可を追加できます。この場合、常勤役員等の要件は既に満たしているため、主に営業所専任技術者の要件と財産的基礎の確認が中心となります。ただし、鋼構造物工事業特有の技術者要件(国家資格や実務経験)は別途満たす必要があります。申請手続きは新規許可より簡素化されますが、技術者要件の証明は同様に厳格です。
Q3: 個人事業主でも鋼構造物工事業の建設業許可を取得できますか?
A3: はい、個人事業主でも建設業許可を取得できます。個人事業主の場合、事業主本人が常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件を満たし、かつ営業所専任技術者の要件も満たす必要があります。同一人が両方の要件を兼ねることも可能です。財産的基礎については、個人の財産で500万円以上の自己資本または資金調達能力を証明する必要があります。法人と比較して、証明書類の種類は異なりますが、要件の厳格さは同等です。
Q4: 営業所専任技術者が退職や転職をした場合、どのような手続きが必要ですか?
A4: 営業所専任技術者に変更が生じた場合、変更があった日から2週間以内に「変更届出書」を提出する必要があります。新たな専任技術者を配置するまでの間は、該当する業種の建設業を営むことができません。そのため、技術者の退職が予想される場合は、事前に後任者の確保と必要な手続きの準備を行うことが重要です。変更届出には、新しい技術者の資格証明書や実務経験証明書などが必要になります。
Q5: 鋼構造物工事業と「とび・土工・コンクリート工事業」の区分が曖昧な工事がある場合、どちらの許可が必要ですか?
A5: 工事の内容により判断が必要です。鋼構造物工事業は「鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事」であり、設計図に基づく鋼材の加工や溶接を伴う本格的な構造物の建設が該当します。一方、とび・土工工事の鉄骨組立ては、主に既製品の組立てや他工事に付随する作業を指します。具体的には、工場で製作された鉄骨部材を現場で組み立てるだけの場合は「とび・土工」、鋼材の現場加工や溶接を伴う場合は「鋼構造物工事」となる傾向があります。判断に迷う場合は、申請サポートの専門家にご相談ください。
Q6: 建設業許可の申請から取得までどのくらいの期間がかかりますか?
A6: 申請準備期間と行政庁での審査期間を合わせて考える必要があります。申請準備期間は、常勤役員等や専任技術者の経験証明書類の収集状況により1~3ヶ月程度かかることが一般的です。特に過去の実務経験証明や古い会社の資料収集には時間を要します。行政庁での審査期間は標準的に30日程度ですが、書類不備があれば補正期間が追加されます。全体として、準備開始から許可取得まで2~6ヶ月程度を見込んでおくことが適切です。申請代行を利用することで、準備期間の短縮と確実な申請が可能になります。
Q7: 建設業許可取得後の維持管理で注意すべき点はありますか?
A7: 建設業許可は取得後も継続的な維持管理が必要です。主な注意点は以下の通りです:①5年ごとの更新手続き(有効期間満了の3ヶ月前から受付)、②毎年の決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内)、③各種変更届(役員変更、技術者変更、営業所変更等は変更後2週間以内)、④工事経歴台帳の整備、⑤標識の掲示、⑥帳簿の保存。これらの手続きを怠ると許可の取消しや営業停止処分を受ける可能性があります。継続的な申請サポートにより、適切な維持管理が可能になります。
まとめ
鋼構造物工事業の建設業許可は、現代社会のインフラを支える重要な資格であり、企業の技術力と信頼性を証明する重要な要素です。本記事で解説した通り、許可取得には複雑な要件と専門的な知識が必要であり、特に以下の点が重要なポイントとなります。
許可取得の重要ポイント:
要件の正確な理解: 常勤役員等の経営経験要件と営業所専任技術者の技術要件は、それぞれ異なる観点から企業の適格性を評価する重要な基準です。令和2年の法改正により要件が一部緩和されましたが、証明の複雑さは依然として残っています。
証明書類の適切な準備: 過去の経営経験や実務経験を客観的に証明する書類の収集と整理は、最も時間と労力を要する作業です。特に古い資料や廃業した会社の証明書類の入手は、専門的なノウハウが必要になります。
業種区分の正確な判断: 鋼構造物工事と他業種(特にとび・土工・コンクリート工事)との区分を正確に理解し、自社の事業内容に適した許可を取得することが重要です。
財産的基礎の確保: 一般建設業では500万円以上、特定建設業ではより厳格な財務要件をクリアする必要があります。
継続的な維持管理: 許可取得後も5年ごとの更新、毎年の決算変更届、各種変更届など、継続的な手続きが必要です。
専門家サポートの重要性:
これらの複雑な要件と手続きを確実に進めるためには、建設業許可申請の専門家である行政書士による申請代行・申請サポートの活用が極めて有効です。専門家のサポートにより以下のメリットが得られます:
- 法令改正に対応した最新の知識による適切な申請
- 個別の事情に応じた最適な要件クリア方法の提案
- 証明書類の効率的な収集と適切な整理
- 申請書類の正確な作成と不備のないチェック
- 行政庁との円滑な折衝と迅速な問題解決
- 許可取得後の継続的な維持管理サポート
今後の展望:
建設業界のデジタル化、働き方改革の推進、技術者不足への対応など、業界を取り巻く環境は今後も変化し続けます。鋼構造物工事業においても、BIMの活用、プレファブ化の推進、品質管理の高度化など、より高度な技術力と管理能力が求められるようになるでしょう。
このような変化に対応し、事業の継続的な発展を図るためには、適切な建設業許可の取得と維持が不可欠です。複雑化する法令要件や申請手続きに確実に対応するため、ぜひ建設業許可申請の専門家による申請代行・申請サポートをご活用ください。
当事務所では、豊富な実績と専門知識を活かし、お客様の鋼構造物工事業の発展を全力でサポートいたします。許可取得から維持管理まで、長期的なパートナーとして、皆様の事業成功に貢献してまいります。
参考文献
- 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」
- 建設業法及び関係政省令
- 各都道府県建設業許可申請の手引き
- 国土交通省「建設業許可制度の概要」
- 建設業許可申請書等の様式について(国土交通省)

行政書士:岩田雅紀
『環境系専門の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表
産廃業許可、建設業許可申請を主な業務として取り扱っている。
資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc