産業廃棄物収集運搬業
行政書士岩田雅紀事務所です。前職が産廃関係の仕事に就いてたので、リアルな現場を知っている数少ない専門家です。今回は産業廃棄物管理票(マニフェスト)について、実際に運用をされている業者さんから色々教えて頂きましたので、それを基に解説したいと思います!
行政書士の紹介
この記事を監修】
行政書士:岩田雅紀
『産廃業許可の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表
資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc
目次
- マニフェストとは!?産業廃棄物管理票の基本ルール
- マニフェストを交付する前に
- マニフェストの種類
- マニフェストの内容
- マニフェストの流れ
- マニフェストの重要性
- まとめ
マニフェストとは!?産業廃棄物管理票の基本ルール
産業廃棄物を運搬する為のルールとして、産業廃棄物管理票(マニフェスト)に排出事業者・収集運搬業者・処分業者がそれぞれ記載をしなければなりません。このマニフェストは義務行為なので、虚偽記載や不交付(書かなかった)をした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられます。このルールによって、不法投棄等の悪質な不正処理を防ぐ役割を果たしています。これから産廃処理を生業とすることを予定している事業者さんや、収集運搬を予定している事業者さんは、しっかり覚えておいてください。
マニフェストを交付する前に
排出事業者がまず行わなければならないのが、排出事業者・収集運搬業者・処分業者による3者間での廃棄物処理委託契約を結ばなければなりません。右の写真は建設産廃を処理する時に使用する契約書の雛形の一部です。『廃棄物処理委託契約書』などweb検索をすれば、様々なサイトで雛形をダウンロード出来ると思いますので、ご自身の用途に合わせて必要な雛形を使用して頂けたらと思います。
マニフェストの種類
3者間で業務委託の締結が出来たら、いよいよ排出事業者からマニフェストを交付して、収集運搬→中間処分or最終処分とマニフェストが流れて行きます。この産業廃棄物管理票(マニフェスト)は電子マニフェストを入れて、4種類が存在します。
- 直行用事業系マニフェスト伝票
- 建設廃棄物用マニフェスト伝票
- 積替用マニフェスト伝票
- 電子マニフェスト
産業廃棄物管理票(直行用事業系マニフェスト伝票)
全国産業資源循環連合会が発行した産業廃棄物管理票(マニフェスト)です。事業用マニフェストと呼ばれています。主に使用されているマニフェストですね。購入する先は全国の産業資源循環協会等で購入可能。1枚30円の100セット(税込)3000円)やドットプリンター対応のマニフェストも販売されております。
建設系産廃物マニフェスト伝票
こちらは建設六団体副産物対策協議会が発行している、建設系産廃を運搬する際に使用するマニフェストになります。建設会社さんが建物を施工している途中で出るゴミを運搬する場合はこちらのマニフェストをご使用下さい。こちらは1枚25円。販売先は各都道府県の建設業協会または、産業資源循環協会等で販売されています。
中身の作りは、事業用マニフェスト同じ作りになっております。
積替用マニフェスト伝票
排出された産廃ゴミは、その日の内に処理場の方へ運搬しなければなりません。なので前2枚は直行用。このマニフェストは産廃ゴミの積替え保管場所の許可を得ている業者さんが使用するためにあります。
電子マニフェスト
JW.netが提供している、オンラインマニフェスト発行システム。電子マニフェスト制度は、マニフェスト情報を電子化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処理センターを介したネットワークでやり取りする仕組みです。
マニフェストの内容
このマニフェスト伝票は一番上のA票(排出事業者控)から始まりB1票(運搬業者控) B2票(運搬業者→排出事業者) C1票(処分業者保存) C2票(処分業者→運搬業者)) D票(処分業者→排出事業者) E票(中間or最終処分業者→排出事業者/中間処理業者)の7枚綴りになっており、必要な個所で保存用や返送用となっております。Aから始まり最終的にE票が排出事業者の元に返っている仕組みになっています。これは他の建設産廃マニフェスト等も作りは一緒です。
マニフェストを購入すると、既に交付番号が入ったものが届きます。この交付番号が運搬処理するゴミの番号となって管理されて行くわけです。そして、「排出事業者記名欄」「産業廃棄物の種類」「運搬受託者」等いくつか記入欄があります。それぞれ3者間で、記入をしていく仕組みとなっております。
中々文字で説明しても難しいですが、実際にマニフェスト手に取ってみると分かり易いかと思います。
直行用マニフェスト7枚複写詳細
A票 | 排出事業者の保存用 |
---|---|
B1票 | 運搬業者の控え |
B2票 | 運搬業者から排出事業者に返送され、運搬終了を確認 |
C1票 | 処分業者の保存用 |
C2票 | 処分業者から運送業者に返送され、処分終了を確認(運搬業者の保存用) |
D票 | 処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認 |
E票 | 処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認 |
マニフェストの流れ
マニフェストの流れとしては、1次マニフェスト2次マニフェストという2段階になっています。1次は排出事業者→収集運搬業者→中間処理業者。2次は中間処理業者→収集運搬業者→最終処分業者。処理の仕方(1次処理=中間処理)(2次処理=最終処理)と言う考え方で覚えておけば問題ないと思います。この1次処理で産廃ゴミを熱処理や脱水処理して減量化、実質的排出量を減らして2次処理に運びます。当然マニフェストも1次用に1枚、2次用にもう1枚と必要になります。
マニフェストの重要性
マニフェストが必要な理由は、主に以下の2つです。1つは、産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任を明確にするためです。産業廃棄物は、排出事業者が責任を持って処理しなければなりません。処理を業者に依頼する場合にはマニフェストを発行し、委託した産業廃棄物が適正処理されているかどうか把握する必要があります。もう1つの理由は、不法投棄を未然に防ぐためです。不法投棄は法律で禁止されており、違反した場合には処理を委託した業者と排出事業者両方に懲役刑もしくは罰金刑、またはその両方が科されます。 「委託した産業廃棄物が知らないうちに不法投棄されていた」という事態を防ぐためにもマニフェストは必要です。ちなみに、マニフェストの交付は法律で義務づけられているため、交付していない場合には法律違反となります。収集運搬・処分を委託した業者と、排出事業者の両方に罰則が科されるので注意しましょう!
まとめ
今回は産廃処理に絶対必要な書類、マニフェスト伝票について解説致しました。きちんと管理運営をしながら、正しくゴミを処分したいですね!
- マニフェストは交付義務
- マニフェストの前に3者契約が必要
- マニフェストは電子入れて4種類
- 1次と2次がある
- 義務を怠ると罰せられる
以上のポイントをしっかり押さえながら、マニフェストを正しく発行して、収集運搬に役立てて下さい!