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木くずとは?定義・区分・種類・処分方法を徹底解説

はじめに

事業活動の中で、日々様々な廃棄物が発生しています。特に「木くず」は、多くの業種で発生する廃棄物であり、その取り扱いには適切な理解が必要です。

木くずは一見シンプルな廃棄物に見えますが、排出元や状態によって「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類され、それぞれ異なる処理方法が求められます。

本記事では、産業廃棄物としての木くずについて、その定義や区分、種類、適切な処分方法について詳しく解説します。事業活動で木くずを扱う担当者や、廃棄物処理に関わる方々にとって、法令順守と環境保全の観点から役立つ情報を提供いたします。

行政書士:岩田雅紀
『環境系専門の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表

産廃業許可、建設業許可申請を主な業務として取り扱っている。

資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc

目次

  1.  はじめに
  2. 産業廃棄物としての木くずの定義
  3. 木くずの区分:産業廃棄物と一般廃棄物の違い
  4. 産業廃棄物となる木くずの種類
  5. 一般廃棄物となる木くずの種類
  6. 木くずが発生する主な場所
  7. 産業廃棄物としての木くずの処理方法
    ・リサイクル(チップ化)
    ・リサイクル(燃料化)
    ・リサイクル(堆肥化)
    ・埋立処理
    ・焼却処理
  8. 木くずの処理費用相場
  9. 産業廃棄物としての木くず処理における注意点
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ

産業廃棄物としての木くずの定義

廃棄物処理法において、産業廃棄物とは「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち法令で定められた20種類の廃棄物」と定義されており、木くずはこの20種類のうちの一つです。

産業廃棄物としての木くずは、排出する業種が限定されています。同じ木くずであっても、排出元が法律で定められた業種に該当する場合は「産業廃棄物」として、そうでない場合は「一般廃棄物」として処理しなければなりません。

廃棄物処理法施行令第2条によると、産業廃棄物としての木くずは以下のように定義されています。

「木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)」

木くずの区分:産業廃棄物と一般廃棄物の違い

木くずの区分を理解することは、適正な処理を行う上で非常に重要です。木くずが産業廃棄物と一般廃棄物のどちらに分類されるかは、主に以下の要素によって決まります:

 

『排出者』:事業者か一般家庭か

『業種』:法令で指定された特定の業種からの排出かどうか

『木くずの種類』: 特定のケースでは木くずの種類自体が区分に影響する

 

産業廃棄物と一般廃棄物の主な違いは、処理責任と処理方法にあります。
 

『産業廃棄物』:排出事業者に処理責任があります。適正な処理を行うためには、都道府県知事や政令市長から許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。

『一般廃棄物』:市町村に処理責任があります。市町村の指導に従って排出し、市町村自らが回収するか、市町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者に委託します。

 

誤った区分で処理した場合、法令違反として罰則を受ける可能性もあるため、正確な判断が必要です。

産業廃棄物となる木くずの種類

以下の条件に該当する木くずは産業廃棄物として扱われます。

 『建設業に係る木くず』

  •  工作物(建物、橋、電柱、小屋など)の新築、改築、除去に伴って生じた廃木材
  •  工事箇所から発生する伐採材や伐根
  •  建設現場における木材の加工で生じる端材やおがくず

 

『木材・木製品製造業に係る木くず』

  •  家具の製造業を含む
  •  おがくず、パーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップなど

 

『パルプ製造業に係る木くず

  • 輸入木材の卸売業に係る木くず
  •  物品賃貸業に係る木くず
  • 貨物の流通のために使用したパレットに係る木くず

 業種を問わず、貨物流通で使用した木製パレットは産業廃棄物

 パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む

 

『PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んだ木くず

  •  特別管理産業廃棄物に該当する

 

また、造園工事業で生じた剪定枝も、道路や公園などの施設の手入れを担当する場合は産業廃棄物として分類されます。

一般廃棄物となる木くずの種類

産業廃棄物に該当しない木くずは、一般廃棄物として扱われます。具体的には以下のようなものが一般廃棄物の木くずに該当します。

 家庭から出る木くず』

  •  家庭で使用していた木製家具
  •  家庭でのDIYで出た木くず
  •  家庭の庭木の剪定枝

 

『特定の業種以外から排出される事業系木くず』

  •  園芸サービス業で生じた剪定枝
  •  小売店や飲食店などの店舗から排出される木くず
  •  事務所から排出される木製事務用品

 

『特定のタイプの木くず』

  •  森林の密林化を防ぐために切った間伐材や伐採木(それ自体として扱う場合)
  •  流木(特殊なケースとして注意が必要)
  •  梱包用の木材や枕木の木くず


一般廃棄物の木くずは、市区町村のルールに従って処理する必要があります。一般廃棄物の処理は基本的に各市区町村の責任下にあるため、処理方法や受入条件は地域によって異なる場合があります。

木くずが発生する主な場所

木くずが発生しやすい主な場所は以下の通りです。
 

『解体現場・建設工事現場』

建設業に関わる現場では、木くずが大量に発生します。

  • 建物解体時に発生する木製部材
  • 新築・リフォーム時の余剰材
  • 基礎工事などのための支保工
  • 型枠などの仮設資材

 

産業廃棄物としての木くずは、建設業に係るものが多くの割合を占めています。

『木製品加工会社』

  • 木材を加工する企業では、以下のような木くずが発生します。
  • 木の削りカス(おがくず)
  • 木材の余剰部分(端材)
  • 製品不良品や破損品
  • 梱包材の廃棄

木製品製造業では木くずの発生量が多く、適切な処理が必要となります。

 

『物流関連施設』

物流拠点や倉庫では、主に以下のような木くずが発生します。

  • 使用済み木製パレット
  • 梱包材として使用された木材
  • 木製コンテナや木箱

貨物の流通のために使用されたパレットは、業種を問わず産業廃棄物として処理が必要です。

産業廃棄物としての木くずの処理方法

木くずは産業廃棄物の中でも比較的リサイクル率の高い廃棄物であり、環境省のデータによると約85%が再利用されています。木くずの主な処理方法は以下の通りです。

リサイクル化(チップ化)

チップ化は木くずの最も一般的な再利用方法です。

  • 木くずを細かく砕いて再資源化
  • 紙の材料としての利用
  • 断熱性・吸音性を持つファイバーボード(建材)への加工
  • ガーデニングの敷料としての活用
  • 木の種類によって用途を分ける(例:ヒノキは腐食しにくいためガーデニング用、スギは消臭効果があるためコンポスト用)

リサイクル化(燃料化)

木くずは良質な燃料としても利用価値が高いです。

  • RPF燃料(固形燃料)としての活用
  • バイオマス燃料としての利用
  • ボイラー施設の燃料
  • セメント製造の原燃料

特に、建物の解体後の建築廃材や燃えやすい特性を持つ木くずは、環境に優しい燃料として注目されています。

リサイクル化(堆肥化)

木くずを堆肥として再利用する方法も広く行われています。

  • 剪定枝や伐採木を発酵させて堆肥化
  • 生ゴミや家畜糞尿を堆肥化する際の水分調整剤として利用
  • 樹皮(バーク)と有機物を混ぜて発酵させたバーク堆肥の製造
  • 家庭用生ゴミ処理機の副資材としての活用

埋立処理

リサイクルが困難な木くずは、管理型最終処分場で埋立処理されます。

  • 管理型最終処分場では、埋め立てられた廃棄物が周囲の環境に悪影響を与えないよう厳重に管理
  • 浸出水の処理や地下水汚染防止のための対策が施されている

焼却処理

再利用が不可能な木くずは、適切な施設で焼却処理が行われます。

  • 専用の焼却施設での処理
  • エネルギー回収型の焼却施設では、発生する熱を有効利用
  • 焼却灰は適切に処分される

なお、廃棄物処理法では、野焼きなどの不適切な焼却は禁止されており、違反した場合は罰則の対象となります。

木くずの処理費用相場

木くずの処理費用は、状態や地域、処理業者によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです:

 

  • 重量ベースの場合:1キログラムあたり約10〜60円
  • 容積ベースの場合:1立方メートルあたり約3,000〜8,000円
    (あくまで目安です。費用は都度変わりますので、詳しくは処分先にお問合せ下さい)

 

処理費用に影響を与える主な要因。

  • 木くずの状態(汚れの付着や腐敗具合)
  • 木くずの種類(建設系か製造系か、薬品処理の有無など)
  • 処理方法(リサイクルか最終処分か)
  • 処理業者の立地や設備
  • 排出量(大量の場合は単価が下がることもある)

処理を委託する前には、木くずの状態をよく確認し、複数の処理業者から見積もりを取得することをおすすめします。また、処理委託契約を結ぶ際には、処理料金の内訳も確認するとよいでしょう。

産業廃棄物としての木くず処理における注意点

産業廃棄物としての木くずを適切に処理するためには、以下の点に注意する必要があります:

 

『適正な区分の確認』

  •  排出される木くずが産業廃棄物に該当するか一般廃棄物に該当するか正確に判断する
  •   判断が難しい場合は自治体や専門家に相談する

 

『許可を持つ処理業者への委託』

  •  産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に委託する
  •  許可証の確認と写しの保管を行う

 

『委託契約の締結』

  •  書面による委託契約を締結する
  •  必要事項(処理料金、処理方法、処理場所など)が記載されていることを確認する

 

『マニフェスト(産業廃棄物管理票)の管理』

  •  木くずの排出時にマニフェストを交付する
  •  マニフェストを適切に保管し、最終処分までの流れを確認する
  •  マニフェストの返却状況を定期的にチェックする

 

『保管場所の管理』

  • 産業廃棄物保管基準に従った保管を行う
  •  50日を超えて保管する場合は届出が必要な場合がある
  • 火災予防の観点から適切な管理を行う

 

『PCB汚染木くずの特別な扱い』

  • PCBが染み込んだ木くずは特別管理産業廃棄物として取り扱う
  • 専門の処理業者に委託する

 

『帳簿の記録と保存』

  • 産業廃棄物の排出、運搬、処分等の状況を帳簿に記録する
  • 法令で定められた期間(5年間)保存する

適切な処理を行わなかった場合は、罰則(最大5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)の対象となる可能性があります。法令を遵守した処理を行うことで、環境保全と法的リスクの回避につながります。

産業廃棄物としての木くず処理における注意点

Q1: 伐採した木は産業廃棄物に分類されますか?

A1: 伐採木は原則として一般廃棄物に分類されます。ただし、建設工事や解体工事の際に、工事の都合で伐採した木については建設工事に伴って排出されたものとして、産業廃棄物として扱う必要があります。

 

Q2: 木の枝は産業廃棄物になりますか?

A2: 木の枝(剪定枝)は基本的に一般廃棄物です。ただし、造園工事業が道路や公園などの手入れを行う際に排出した剪定枝は、工事に伴って排出されたものとして産業廃棄物に該当します。一方、園芸サービス業が剪定して出た木の枝は一般廃棄物として扱われます。

 

Q3: 木製パレットは産業廃棄物ですか?

A3: 貨物の流通のために使用した木製パレットは、業種を問わず産業廃棄物として扱われます。これは平成19年の廃棄物処理法施行令改正により定められました。ただし、個人が家庭生活で使用していた木製パレットは一般廃棄物です。

 

Q4: PCBが染み込んだ木材はどう処理すべきですか?

A4: PCBが染み込んだ木材は特別管理産業廃棄物に該当し、通常の産業廃棄物より厳格な管理が必要です。特別管理産業廃棄物の取り扱い許可を持つ専門業者に委託する必要があります。また、運搬時は他の廃棄物と分別して、PCBが他の物質に付着しないよう注意が必要です。

 

Q5: 木くずの産業廃棄物と一般廃棄物の判断が難しい場合はどうすればよいですか?

A5: 判断が難しい場合は、自己判断せずに地域の行政機関(都道府県や市区町村の廃棄物担当部署)に問い合わせることをおすすめします。誤った判断による法令違反を防ぐためにも、専門家の意見を確認することが重要です。

まとめ

産業廃棄物としての木くずは、特定の業種や条件下で発生する木材系の廃棄物です。その定義や区分、処理方法を正確に理解することは、適正な廃棄物管理において重要です。

 

木くずは以下の条件で産業廃棄物となります。

  • 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたもの)
  • 木材・木製品製造業(家具製造業含む)に係るもの
  • パルプ製造業に係るもの
  • 輸入木材の卸売業や物品賃貸業に係るもの
  • 貨物流通に使用したパレットに係るもの
  • PCBが染み込んだもの

 

産業廃棄物としての木くずは、チップ化、燃料化、堆肥化などでリサイクルされることが多く、再利用率が高い廃棄物です。リサイクルが難しい場合は、管理型最終処分場での埋立処理や適切な焼却処理が行われます。

 木くずの処理に際しては、適切な区分判断、許可業者への委託、マニフェスト管理など、法令に則った対応が求められます。違反した場合は重い罰則を受ける可能性もあるため、正確な理解と適切な対応が必要です。

 事業活動で発生する木くずを適切に管理・処理することは、環境保全への貢献だけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。この記事が、産業廃棄物としての木くずを扱う皆様の参考になれば幸いです。

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