建設業工事29業種を解説
皆さんこんにちは。今回は建設業工事29業種ある内の1つ、『建築一式工事』について解説したいと思います。
【この記事を監修】
行政書士:岩田雅紀
『産廃業許可の専門行政書士』行政書士岩田雅紀事務所代表
資格:行政書士 天井クレーン 車両系建設機械 etc
目次
- 建築一式工事とは?
- 建築一式工事の内容
- 建築一式工事の分かり辛い部分
- 建築一式工事を取得するメリット
- 建築一式工事を取得するデメリット
- 建築一式工事を取得する要件
- まとめ
建築一式工事とは?
建築一式とは29種類あるうちの一業種で、一式工事と言う2種類あるうちの一つの建設工事業種になります。
建築一式工事とは、建築物の総合的な企画、指導、調整のもとに建設する工事のことを指します。具体的には、建物の新築、増改築、改修、などが該当します。
この種の工事は、大規模で複雑な工事が一般的で、元請業者の立場で運営管理する建設業者が取得する許可が必要です。また建築一式工事には、請負代金が1,500万円以上または木造住宅の延べ面積が150㎡以上の工事などの条件があります。
専任技術者になるためには、一定の資格や実務経験が必要です。具体的には、一級建築士、二級建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士などの資格があります。また、資格がなくても、建築一式工事の施工について10年以上の実務経験を有する人は、建築工事業の専任技術者になることができます。
ただし、建築一式工事の許可があっても、27種類の専門工事を単体で請け負えるわけではないので、注意が必要です。一定金額以上の建築系の専門工事を単体で請け負うには、それらの許可も取得する必要があります。
建築一式工事の内容
建築一式工事は、建築物を建設するための総合的な企画、指導、調整を伴う工事を指します。具体的には以下のような特徴があります。
- 大規模かつ複雑な工事:元請業者の立場で、複数の下請業者を管理して施工する大規模で複雑な工事というイメージです。
- 建築物の建設:戸建新築工事、ビル新築工事、建築確認を要する増改築工事などが含まれます。
- 専門工事の組み合わせ:単一工事であっても、工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものは建築一式工事に含まれます。
また、建築一式工事の許可を受けるためには、一定の専任技術者の要件を満たす必要があります。具体的には以下のような資格を持つ人が必要です
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(建築)
- 1級建築士
- 2級建築士
- 建築一式工事業に関して、10年以上の実務経験がある場合
これらの要件を満たすことで、建築一式工事の許可を取得することができます。ただし、「建築一式工事の許可で、何でもできる」という誤解がありますが、専門工事を行うためには、その専門工事の許可が必要となります。この点については注意が必要です。
建築一式の分かり辛い部分
『建築一式を持っていたら、内装工事など建築工事なんだから、金額関係なく請負えるんだよね?』
など誤った認識の方が非常に多く見受けられます。
『建築一式』とは書いてありますが、建築物を建てる為に一式なんでも出来る業種と言う訳ではありません。一式工事を取得したら、元請業者として建築確認が必要な工事を受注し、専門工事を請負う下請け業者に発注しながら企画、指導、調整を行ってゆく立場になります。
建築一式工事を取得するメリット
建築一式工事の許可を取得することには、以下のようなメリットがあります。
- 契約が簡略化できる: 建築一式工事の許可を持つ業者は、建築物の全工程を請け負うため、契約が一つで済みます。これにより、契約の手続きが簡素化され、管理が容易になります。
- 管理がしやすい: 建築一式工事の許可を持つ業者は、全工程を統括するため、工事の進行状況を一元的に把握しやすく、効率的な管理が可能です。
- 責任の所在が明確化できる: 建築一式工事の許可を持つ業者は、全工程の監督責任を負うため、責任の所在が明確になります。
- 幅広い業務を請け負うことが可能: 建築一式工事の許可を持つ業者は、新築、増改築、大規模改修など、様々な種類の建築工事を請け負うことができます。
- 信頼性の向上: 建築一式工事の許可を持つ業者は、その許可を取得するために一定の資格や実務経験を必要とするため、施主からの信頼性が向上します。
建築一式工事を取得するデメリット
建築一式工事の許可を取得することには、以下のようなデメリットがあります。
- 時間と費用: 建築一式工事の許可を取得するためには、一定の資格や実務経験が必要であり、これらを満たすためには時間と費用がかかります。
- 管理負担: 建築一式工事の許可を持つ業者は、全工程を統括するため、工事の進行状況を一元的に把握し、効率的な管理が必要となります。
- 専門工事の制限: 建築一式工事の許可があっても、27種類の専門工事を単体で請け負えるわけではないので、注意が必要です。一定金額以上の建築系の専門工事を単体で請け負うには、それらの許可も取得する必要があります。
これらのデメリットを考慮に入れつつ、建築一式工事の許可を取得するかどうかを決定することが重要です。
建築一式工事を取得する要件
建設業許可を取得する場合、常勤役員等(経営業務の管理責任者や)専任技術者要件といくつもの大きな要件をクリアしなければなりません。
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常勤役員等(経営業務管理責任者): 許可申請者が法人の場合は常勤の役員、個人の場合は事業主本人が、経営業務管理責任者であることが要件です。以下のいずれかに該当する者であることが必要です。
- 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者。
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者。
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者。
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専任技術者: 許可申請者の役員や従業員の中に、専任技術者がいることが要件です。以下のいずれかに該当する者であることが必要です。
- 一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士(建築)、一級建築士、二級建築士などの資格を持つ者。
- 大学、高等専門学校にて指定の学科(建築学、都市工学)を卒業し、3年以上の実務経験がある者。
- 高等学校、中等教育学校、専修学校の指定の学科を卒業し、5年以上(専修学校の専門士、高度専門士であれば3年)の実務経験がある者。
- 建築一式工事業に関する10年以上の実務経験がある者
- 適切な社会保険に加入していること
- 請負契約に際し誠実性があること
- 財産的基礎、金銭的信用があること
- 欠格要件に該当していないこと
以上の要件を満たすことで、建築一式工事の許可を取得することが可能です。
まとめ
建築一式工事のまとめ
- 元請けの立場
- 建築確認が必要な工事
- 請負代金が1,500万円以上または木造住宅の延べ面積が150㎡以上
以上の工事を受注する場合は、建設業許可申請をして建設業者にならなければ、工事をすることが出来ません。
建築一式の事について簡単に説明しましたが、もっと詳しく知りたい、又は専任技術者になるにはどのようにすればいいのか。様々な悩みがあると思いますが、弊所では丁寧に説明致します。何かご質問が有りましたら、遠慮なくご相談下さい!